インプラント治療における抜歯!メリット・注意点も
こんにちは。仙台市青葉区にある歯医者「広瀬通り歯科クリニック」です。
歯を失った際「インプラント治療を受けたいけれど、抜歯が必要なのか?」と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。虫歯や歯周病、破折などで歯を残せない場合は抜いたあとに、インプラント治療を行うケースが一般的です。
今回は、インプラント治療と抜歯の関係について解説します。インプラント治療を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。
目次
インプラント治療と抜歯の関係
インプラント治療を行うお口の状態には個人差があります。過去の歯科治療や何かの理由で治療を行う部位にすでに歯がない場合もあれば、これから抜歯をして治療を進める場合もあるでしょう。
ここでは、治療を進めるうえで抜歯が必要となるケースや抜歯を行ったあとの骨や歯茎の変化について解説します。
抜歯が必要となるケース
治療を検討する際には、まず既存の歯の保存が可能かどうかが判断されます。ここで歯の保存が可能であれば、根管治療や歯周治療によって機能を延命させることも可能です。
しかし、重度の虫歯や歯周病、歯根の破折など、歯の機能が著しく損なわれている場合には、歯を無理に残すことがかえって口腔内の健康を損なう可能性があります。そのため、他の健康な歯を守るためにも抜歯が必要となるのです。
抜歯後の骨や歯ぐきの変化
抜歯後、自然治癒力によって歯の抜けた部分の穴には新しい骨の再生が始まります。
しかし、この再生される骨は量も質もまだ不十分で、未成熟な状態です。つまり、骨ができ始めている段階であり、完全にすぐに元の状態に戻るわけではありません。
年齢や体質、抜歯部位の状態によって個人差がありますが、歯肉が閉じ、骨がある程度再生して、次の治療に進める状態になるまでの治癒期間は2〜3ヶ月程度とされています。
一方で、抜歯をしたことで歯槽骨(歯を支えていた骨)は歯から伝わっていた噛む刺激などを失い、骨が吸収されていきます。これは、骨が使われなくなったと判断されて代謝的に減少していく生理的な反応です。
インプラント治療を行う際にはこのような骨や歯ぐきの状態が重要な判断基準になります。
インプラント治療における抜歯のメリット
抜歯を行うメリットのひとつは、お口の中にある感染源を取り除けることです。抜歯によって清潔な環境を整えることで、インプラント体が顎の骨と結合しやすくなり、安定性が高まります。
また、抜歯を選択することで、噛む力をしっかり支えられる健全な骨にインプラントを埋め込める可能性が広がります。
保存困難な歯を無理に残すよりも、インプラントに置き換えることで長期的に快適な噛み心地を得られる点は大きなメリットといえるでしょう。
さらに、審美面においても抜歯が有利に働く場合があります。重度に破折した歯や歯ぐきのラインに影響を与えている歯を抜くことで、人工歯によって自然で美しい見た目を再現しやすくなるのです。
インプラント治療における抜歯のデメリット
一方で抜歯を行うことにはいくつかのデメリットも存在します。
まず挙げられるのが、前述した顎の骨や歯肉が時間の経過とともに痩せていく可能性がある点です。
この骨吸収によりインプラントの埋入に必要な骨量が不足し、骨造成や歯肉の再生治療など追加の処置が必要となり、治療期間や費用が増える可能性があります。
また、抜歯を行うことで一時的に噛む機能が低下する点もデメリットといえるでしょう。特に奥歯を失った場合は食事のしにくさを感じやすく、仮歯や入れ歯を使用して補う必要が出てきます。
インプラント治療の費用
インプラント治療の費用は他の治療法に比べて高額になる傾向があります。
一般的な費用相場は、1本あたり30万円から50万円程度が目安で、この費用には、インプラント体の埋入手術、人工歯の装着などが含まれるのが一般的です。
ただし、骨造成や抜歯など追加処置が必要な場合は別途費用が発生します。歯科医院によって料金設定や含まれる内容が異なるため、治療前に見積もりや内訳をしっかり確認することが重要です。
また、日本の公的医療保険制度では原則として保険適用外となるため、治療費は全額自己負担になります。
ただし、事故や病気による顎骨の欠損など特定の条件を満たす場合に限り、例外的に保険適用となるケースもあります。
インプラント治療の期間と通院回数
インプラント治療にかかる期間や通院回数の一般的な目安を知っておくことで、スケジュールの調整や心構えがしやすくなるでしょう。
治療期間の目安
治療期間は、抜歯の有無や骨の状態、インプラントを埋入するタイミングによって大きく変わります。
インプラント埋入のタイミングは、抜歯と同時に行う方法と、抜歯後に一定期間を空けてから行う方法があり、患者さんの口腔内の状態や感染リスクなどを考慮して決定します。
抜歯と同時にインプラントを埋入する抜歯即時埋入法の場合は、抜歯後の治癒期間を短縮できるため、約3〜6ヶ月で治療が完了することもあります。
治療期間を短くできるというメリットがありますが、骨や歯ぐきが健康で、感染がないことが適応条件となります。
感染や炎症が残っている場合には、抜歯後に骨や歯肉の治癒を待ってからインプラントを埋入する方法が選ばれます。この方法では、治療期間が約6〜12ヶ月かかることもあります。
さらに、骨造成や歯肉移植などの追加処置が必要な場合は、治療期間が延びる可能性があります。
通院回数の目安
治療のステップごとに通院が必要となるため、全体で5〜10回程度の通院が一般的です。主な通院内容は以下の通りです。
- 初診・診断:口腔内の検査、CT撮影、治療計画の説明
- 抜歯(必要な場合):抜歯後の経過観察も含む
- インプラント埋入手術:局所麻酔下で行われる
- 治癒期間中のチェック:感染や炎症の有無を確認
- アバットメント装着:インプラントと人工歯をつなぐ部品の取り付け
- 上部構造(人工歯)の装着:最終的な歯の取り付け
- メンテナンス・定期検診:治療後の安定性確認と清掃指導
通院の頻度は、患者さんの治癒力や生活習慣、インプラントの種類によっても変わります。短期間で終わるケースもあれば、慎重に進めることで長期的な安定性を確保するケースもあります。
抜歯後からインプラント埋入までのケアと注意点
インプラント治療において、抜歯から埋入までの期間は、口腔内の環境を整えるための重要な準備期間です。この間に適切なケアを行うことは、治療の成功率を高め、長期的な安定性につながります。
抜歯直後のケア
抜歯後、歯があった場所には血餅(けっぺい)と呼ばれるかさぶたのような役割を果たす血の塊が形成されます。血餅は傷口の治りを促進させるものなので、血餅が剥がれないよう、強く口をすすぐことは控えてください。
また、抜歯当日は激しい運動や入浴を避け、安静に過ごしましょう。腫れや痛みがある場合は、冷却や処方された鎮痛薬で対応してください。感染予防のために抗生物質が処方された場合には、歯科医師の指示どおりに服用しましょう。
治癒期間中の注意点
抜歯後の2~3ヶ月は、骨や歯肉が再生・安定するための治癒期間です。この間は、口腔内を清潔に保つことが非常に重要です。歯磨きは抜歯部位を避けて優しく行い、歯科医師の指示に従って洗口剤などを使用することが望ましいです。
また、硬い食べ物や刺激物は避け、傷口に負担をかけないようにしましょう。
インプラント埋入前の準備
インプラント埋入の前には、口腔内全体の健康状態を整えることが求められます。歯周病や虫歯がある場合は、先に治療を済ませておく必要があります。
また、喫煙は治癒を妨げる要因となるため、禁煙が推奨されることもあります。全身疾患がある場合は、主治医との連携のもとで治療計画を立てることが重要です。
まとめ
インプラント治療は、失われた歯の機能と見た目を回復するために行われる歯科治療です。
虫歯や歯周病などで歯を残すことが難しい場合には抜歯をしてからインプラント治療を行いますが、抜歯後は適切なケアや経過観察が必要です。
インプラント治療には、周囲の健康な歯に負担をかけずに機能を回復できるメリットがありますが、治療期間が長くなったり、費用が高額になったりします。保険適用外となるケースが多いため、費用面の確認は重要です。
治療を検討する際は、歯科医師と十分に相談し、自分に合った方法を選ぶことが大切です。
インプラント治療を検討されている方は、仙台市青葉区にある歯医者「広瀬通り歯科クリニック」にお気軽にご相談ください。
当院は、患者さんが生涯にわたってお口の健康を維持できるようサポートすることを目指して治療を行っています。虫歯・歯周病治療や矯正治療をはじめ、入れ歯治療やインプラント治療にも力を入れています。