インプラント周囲炎

インプラント周囲炎とは

インプラント治療後の痛みや腫れは当院へ

インプラント治療とは、自分の歯が失われてしまったときに、人工歯に置き換える治療法のひとつです。インプラント周囲炎は、このインプラントの周囲組織に炎症が起こり、やがて歯槽骨が溶けてしまう病態です。

人工歯であるインプラントはむし歯になりませんが、このインプラント周囲炎には注意が必要です。症状が進行すると、せっかく入れたインプラントをいったん除去し、治療を受けなければいけません。異変を感じたらすぐに受診するとともに、そのような事態にならないように日々の口腔ケアを徹底することが重要です。

インプラント周囲炎と歯周病との違い

インプラント周囲炎は、一般的な歯周病と同様にプラークや歯石の中にある歯周病菌が毒素を出すことで発症します。その状態を放置しておくと、歯と歯ぐきの隙間に歯周ポケットが生じ、そこに歯周病菌が入り込んで、インプラントを支えている歯槽骨を溶かしてしまいます。

インプラント周囲炎は通常の歯周病と似たような病気ですが、その違いは「病態の進行速度」にあります。インプラント周囲炎はいったん歯周病が起こると、急速に病態が悪化します。一般的な歯周病と比べて2〜5倍の速さで進行するといわれています。

日本歯周病学会が行った調査では「インプラント治療を受けてから3年以上たった患者さんの約10%に、インプラント周囲炎が起こっている」ことがわかっています。

インプラント周囲炎の症状

インプラント周囲炎の自覚症状をセルフチェック

歯周病をはじめ、インプラント周囲炎は自覚症状に乏しい病態です。自覚症状として異変を感じた頃には、すでに病態が進行している場合が少なくありません。

インプラント周囲炎の初期症状

  • インプラントを入れた歯の歯ぐきが腫れている
  • 押すと出血がある(歯みがきをすると出血しやすい)

インプラント周囲炎の中等度〜重度の症状

  • 歯ぐきから膿がでて口臭が強くなる
  • 徐々に痛みが増してくる
  • 歯ぐきが徐々に下がり、インプラントが露出してくる
  • インプラントがグラグラと不安定になる

以上のように、インプラントの周囲に違和感や痛みを感じてからそのままにしていると、数ヶ月後には耐えられないほどの激しい痛みを経験することもあります。

病態が進行すると歯槽骨が溶けてインプラントを支えるのが困難となり、場合によってはインプラントを取り除かなければならなくなります。

治療を受けて炎症が落ち着けばまた新しいインプラントを入れることはできますが、細菌感染の恐れがあるため、取り除いたインプラントを再び入れることはできません。

インプラント周囲炎の原因

インプラント治療後のメインテナンスを怠るリスク

インプラント周囲炎を発症する原因のほとんどが、インプラント治療後のメインテナンスを怠ってしまうことです。またさらに、日々の生活習慣や患者さんの持病・既往歴なども関係しています。

インプラントは歯槽骨に直接結合させるため、プラークや歯石が入り込む隙間がないと思われがちですが、健康な歯と同様にインプラントの周りにも歯周ポケットはできます。その歯周ポケットにプラークがたまると、やがて歯石に変化し、インプラント周囲炎の原因となります。

天然の歯は、歯と根元と歯槽骨の間に「歯根膜」という薄い膜状の組織があります。歯根膜はわずかな感覚を感じ取る鋭敏なセンサーの役割を果たしたり、歯と歯ぐきを守るクッションのようなはたらきを担っています。わたしたちがいわゆる「噛み心地」を感じられるのは、歯根膜があるおかげです。そして、この歯根膜の中には、歯周病菌による炎症を抑える免疫細胞が存在しています。

一方、歯を失うと歯根膜も一緒に失われることになります。インプラント治療の過程では歯を失った箇所の歯槽骨に金属製のボルトを直接埋め込みます。そのためインプラントの周囲は歯周病菌が増えやすくなり、一度、炎症を起こすと進行が急速に進んでしまうと考えられています。

歯周病(インプラント周囲炎)を発症するリスク要因は、歯周病のページをご確認ください。

歯周病を引き起こすリスク要因

インプラント周囲炎の検査診断と治療

歯ぐきの検査・治療は当院へ

歯周病はしっかりと治療を受ければ、ほとんどのケースで歯を失わなくてもよい病気です。しかし、治療後のメインテナンスを怠ると、歯周病およびインプラント周囲炎の発症リスクは高まります。

インプラント周囲炎の検査診断は、基本的には歯周病の検査と同じです。検査の結果、炎症の程度、病態の進行具合を患者さんにお伝えし、一緒に治療計画を立てて行きます。

また、抜歯の必要がある際は、抜歯後の処置法として、インプラントの再手術やそのほかの治療方法(部分入れ歯など)をご提案していきます。

歯周病の検査診断
歯周病の治療

インプラント周囲炎の原因を明らかに

一番重要なのは、インプラント周囲炎が起こってしまった原因を明らかにして患者さんへ丁寧に説明し、再び同じような状態にならないように再発予防を心がけることです。治療が終わった後は再評価を行うとともに、常に患者さん自身が正しいブラッシングを行えるようにフォローさせていただきます。また、定期的に歯科医院でのプラークコントロールを受けることを推奨しています。

インプラント周囲炎の予防

仙台で定期歯科検診は当院へ

インプラントを一度入れたらあとは何もケアしなくてはよいわけではありません。インプラントは自分の歯と同じくらい、むしろそれ以上にいたわらなければ長持ちさせることはできません。

インプラントはあくまでも、天然の歯の代用品です。入れたら終わりではなく、より長く持たせるための努力も必要であることを認識しましょう。

インプラントの場合も、基本的には天然の歯と同じようにセフルケアを行います。しかし、インプラントの義歯の部分とボルトの間には隙間が生じやすいので、専用のブラシなどを活用するとより丁寧に磨くことができます。

インプラント治療を終えた方は、定期的なメインテナンスを怠らず、しっかりと歯医者さんで検診を受けるようにしましょう。